チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地 | teamLab / チームラボ

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2014.11.29(土) - 2015.05.10(日)東京, 日本科学未来館
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2014.11.29(土) - 2015.05.10(日)東京, 日本科学未来館

企画展の見どころ

これまで発表してきたアート作品と遊園地を一度に体験できる世界初の企画展

本展は、デジタル領域を中心に独創的な事業を展開するウルトラテクノロジスト集団チームラボが、これまで発表してきたアートと遊園地を一度に体験できる世界初の大展覧会となります。世界各地の美術展などで話題となり、この夏にはニューヨークの著名ギャラリーで高い評価を得た「デジタルアート」と、全国各地で子どもたちを楽しませ、発展を続ける「学ぶ!未来の遊園地」プロジェクトの作品が、日本科学未来館に集結し、これまでにない規模で展示されます。アートと遊園地の新旧作品を、体系的に紹介する本展は、チームラボの魅力と全貌に触れる、またとない機会となります。

会場には、代表するアート作品、遊園地作品それぞれに新作を含む合計18点が、想像を超えるスケールやサイズで展示され、新鮮で驚きのあふれる体験を提供します。また、最先端の技術を操り、世界を魅了する「チーム=人」と「ラボ=実験研究所」の裏側も紹介し、チームラボのクリエーションの秘密にも迫ります。

来場者は、圧倒的な美の空間となるアート展と、思いっきり手や体を動かすことのできる遊園地の全く異なる二つの会場を、自由に行き来し、思い思いに作品と触れることになります。日頃、美術館や科学館へ訪れることの多い学生などの若年層や日本文化に興味のある熟年層だけでなく、子どもがいて美術館に行く機会が少ないファミリー層も親子で一緒に楽しめます。教育、先端技術、ビジネス、広告、ファッションなど、業界に関係なく是非ご来場ください。アート、テクノロジー、遊び、学びの境界を超えた、新しい世界に出会うはずです。

チームラボが創りだすデジタルアートの世界を体験することによって、過去と現在をつなぎ未来を切り拓く、科学技術とアート、学びと遊びの本質や可能性を発見することになるでしょう。

踊る!アート展

デジタルにおける表現の追究

人類は、デジタルという概念を手に入れました。それは、便利だとかコストの革新だけではなく、美の概念を拡張できることだと僕らは信じているのです。
例えば、人とアートの関係性を劇的に変えることだと考えています。見て感じるだけではなく、より参加し、体感するものへと変えることができるのです。そして、人々のふるまいそのものが作品を変化させるのです。個と作品の関係から、集団と作品の関係へと変えるのです。そう、作品の前の人々の関係性にも影響を与えるのです。また、作品を創るというプロセスも広がります。僕らは、デジタルという新たな方法論によって、古来の日本の空間認識の論理構造を模索するというサイエンス的なアプローチを試みているのです。そしてそれを再利用することによって新たな視覚体験を試みたり、近現代の人々の世界の捉え方への問いを投げかけたりしています。古来には、人類が長年培ってきたにも関わらず、近代社会とは相性が悪かったために捨てられただけにしかすぎないものの中に、新しい社会のヒントがあるのではないかと信じているからです。

少なくとも、古来の日本の空間認識の論理構造は、作品に参加し、体感する、つまり、作品が人々の振る舞いによって自由に変化することだとか、人々が空間の中を自由に歩き回りながら体感することと、相性が良いという発見をしたのです。近代に捨てられた日本の古来の空間認識は、デジタルによって、再び、花開くのです。鑑賞者は、じっと止まって鑑賞する必要もなければ、作品は、変容的にも関わらず美しさを維持できるのです。鑑賞者も作品も、より自由になったのです。

そう、人もアートも、踊れるのです。

Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体 / Floating Flower Garden: Flowers and I are of the Same Root, the Garden and I are One

花々が、立体的に埋め尽くされた花の塊であり、庭園である。
空間は花々で埋め尽くされているが、人がいる場所では、花が上がっていくことで、空間が生まれる。そのため、人々は、花で埋め尽くされた塊の中を、自由な方向にゆっくりと歩き回ることができる。作品の中で、他者と出会うと、それぞれの空間はつながり、1つの空間になる。

禅の庭園は、山の中で大自然と一体化するように修行を行っていた禅僧が集団で修行をするための場として、生まれてきたとも言われている。
禅の公案に「南泉一株花(なんせんいっちゅうか)」というのがある。僧肇(そうじょう)の有名な句「天地と我と同根 万物と我と一体也」を、ある人が「也甚だ奇怪なり」と南泉和尚に問うた。南泉和尚は「時の人この一株の花を見ること夢の如く相似たり」と言ったという。
本作は、人々が花々の中に埋没し、花と一体化する庭園である。花を近くで見続けると、花もまた人を見はじめる。その時、人は花と一体化し、はじめて花を見ていることになるのかもしれない。

本作品の花々は、ラン科の花々である。多くのラン科の植物は、土のない場所で生き、空気中から水分を吸収する。この作品の花々は、空中で生きており、日々成長しつぼみをつけ咲いていく。空中に生えているとも言える。
花が咲く植物は、植物の種類の中でもっとも最後に現れた。それにもかかわらず、陸上の植物25万種のうち、花が咲く植物は少なくとも22万種である。進化は、多様性の享受を選び、そして、花とは多様性を生むために生まれたとも言える。そして、その多様性をもっとも享受したのがランである。陸上にある全ての植物の種類の約10%は、ラン科の植物とも言われている。多様性を享受したランの多くは、他の植物でいっぱいであった土の上ではなく、他の植物のいない岩や木の上など、土のないところに最適化していった。土のない場所、つまり、これまでの植物にとっては非常識的に環境が悪いがゆえに、競争のない世界に最適化したランの多くは、進化のもっとも最後の方に現れたと考えられ、今もなお多様化し続けている。進化は何を選んだのか、考えさせられる。

また、ランは花粉媒介を行う特定の昆虫との共進化の例で知られており、パートナーの昆虫の行動する時間に合わせて香りが強くなる。そのため、作品空間は、朝、昼、夕、夜と、空間の香りが刻々と変わっていく。本作品のランは夜行性の昆虫がパートナーであるランが多いため、夜の超高密度のランによる香りは、圧巻である。

世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う / United, Fragmented, Repeated and Impermanent World

伊藤若冲(1716 – 1800)は、近世日本の絵師の一人。江戸時代中期の京都にて活躍した。若冲は、画面全体を数万もの升の形に区切って升目ごとに彩色する、『升目画』という特異な表現方法を残している。本作品は『鳥獣花木図屏風』や『樹花鳥獣図屏風』をモチーフにしている。升目画は、どこかコンピュータの機能的制約から生まれたピクセルアートに通ずるところがある。若冲の升目画は、西陣織(京都西陣で織られる伝統的高級絹織物)の制作工程の工業的制約か、もしくは、それに触発されて描かれたのではないかという説がある。ピクセルアートも機能的制約で生まれたが、機能的制約がなくなった現在でも、表現のひとつとして愛されている。升目画に、直感的に感じるデジタル感とは、そんなところではないかと思っている。升目画は、ひとつの升目ごとに何種類かの色彩を使って四角の中に模様を描いており、印象主義や点描主義よりも以前から、視覚混合の光学現象を意識して表現しているかのように思える。
本作は、仮想の三次元空間上で動植物を立体物として動かし、その空間を「超主観空間」によって映像作品にしている。そして、三次元空間上の色を、画面の升目ごとに、升目の中の何重にも描かれた模様によって分割し、彩色している。たとえば、ある升目の模様が赤と青で彩色されていたら、その部分は三次元空間上では紫だった部分である。
画面の升目が固定されたまま空間は動いていくので、升目内の彩色は空間とは違う時間軸でうごめく。遠くで全体を見た時、視覚混合による鮮やかな色彩は、遅い時間軸で動いていく空間の動植物の世界。近くで凝視した時、升目ごとに細かく描かれた模様によって分割された色彩は、速い時間軸で変化していく世界。ふたつの時間軸が共存する。
部分によっては、升目が升目内のもっとも多い色で塗りつぶされ、抽象的な世界を構成する。さらに、鑑賞者が作品の前に存在するとき、その近くの升目も同様に塗りつぶされていく。動植物は空間上で動くが、画面内で固定化された升目によって抽象化される。鑑賞者の存在によって、升目画の世界と、升目によって抽象化されて描かれた世界とが混ざりあう。

冷たい生命 / Cold Life

本作品は「生命は生命の力で生きている」(2011年)の表面を剥がし、その構造を明らかにしている。
コンピュータでは、三次元の物体の形状を、網目状の線の構造で記述された抽象的で高次の情報で表現される。三次元で描かれているものは、その表面を剥ぐと、網目状の線の集合でできている。表面を剥いだ状態、つまり構造で記述された抽象的で高次の情報の状態のままで表現している。
自然の恵みも脅威も、そして文明の恵みも脅威も、連続的でつながっている。どこかに絶対的な悪意が あるわけでもなければ、かといって綺麗ごとでもすまされない。わかりやすい解などないし、感情すら整理できないかもしれない。それでも、あらゆる状況においても“生きる”それを全部肯定したい。生命はうつくしい。
チームラボが設立以来取り組んでいる空間に書く書『空書』。書の墨跡が持つ、深さや速さ、力の強さのようなものを、新たな解釈で空間に立体的に再構築し、蝶や鳥、花などの動植物が宿り、移り変わる季節とともに生命の営みを表現した。「山川草木悉皆成仏(生きとし生けるものすべてに仏性はやどる)」から、禅においては、何ものにも囚われる事のない、自然でありのままの姿こそが仏であると考える。現代に生きる我々の考える生命の心をかたちにした。

花と屍 剝落 十二幅対 / Flower and Corpse Glitch Set of 12

12幅からなり、「自然と文明の衝突、循環、共生」をテーマにした絵物語。

コンピューター上の3次元空間に立体的に作品世界を構築し、「超主観空間」で映像化している。表面が剥落し、作品の裏側が浮かび上がる。

コンピュータでは、三次元の物体の形状を、網目状の線の構造で記述された抽象的で高次の情報で表現する。つまり、三次元で描かれているものは、その表面を剥ぐと、網目状の線の集合でできている。本作品では、表面を剥ぎ、制作プロセスを垣間見せている。

1:花と屍 剝落 十二幅対 「都と貴族」
栄華極まる都。光源氏は、きらびやかな色彩の中で生活を送っていた。
2:花と屍 剝落 十二幅対 「繁栄と厄災」
都で、厄病が流行る。厄病の原因を探るため、光源氏は厄病を辿って、都の外へと旅立つ。
3:花と屍 剝落 十二幅対 「山の民と祭」
厄病を辿ると、山の村へ行き着いた。村では自然の恵みを祝い、祭りが行われていた。

4:花と屍 剝落 十二幅対 「森と日常」
祭りが終わり、日常に戻った村では厄病の影響を受けながらも、人々は果敢に生きていた。人々は木々を切り文明を発展させ、またさまざまな自然の恩恵を受けながら、豊かに暮らしていた。

5:花と屍 剝落 十二幅対 「神木とヤマタノオロチ」
山の村は、都でのさらなる発展のために多くの材木を依頼され、山の奥深くの巨木を切り倒すことになった。巨木を切り倒すと、突如そこからヤマタノオロチが現れる。ヤマタノオロチは怒り狂い、大雨を降らして洪水を起こす。

6:花と屍 剝落 十二幅対 「ヤマタノオロチと森の神々」
山の村の家々をなぎ倒し、暴れまわるヤマタノオロチに続き、森の神々がやってきて次々と人々を襲い始める。

7:花と屍 剝落 十二幅対 「戦場と兵器」
山の村は、武士に依頼し、山の村に武士の集団がやってくる。武士達とヤマタノオロチや森の神々との戦いがはじまる。
8:花と屍 剝落 十二幅対 「勝利と破壊」
武士達は、火矢などの文明を駆使し、激戦の末、武士の集団が勝利を収める。
9:花と屍 剝落 十二幅対 「荒野と飢え」
後に残ったのは燃え尽きた森の残骸。山の村は自然の恩恵を失い、飢えを予期し絶望する。

10:花と屍 剝落 十二幅対 「花と屍」
光源氏は、ヤマタノオロチや森の神々の屍に囲まれ呆然とする。困った光源氏は、ヤマタノオロチの屍に種をまいてみる。そうすると、屍から芽が出て、みるみる花々が咲いていく。その花々は、樹木に成長し、森が作られていく。

11:花と屍 剝落 十二幅対 「森と祭」
山の民たちは、森の恩恵をまた受けることができるようになり、文明を発展させながらも、森と共に生きていく決意をし、山の村ではまた祭りが行われる。

12:花と屍 剝落 「十二幅対 都と祭」
都では厄病が少し落ち着き、原因はよくわからないままだが、めでたいということで祭りが行われる。

追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点 / Crows are chased and the chasing crows are destined to be chased as well, Division in Perspective – Light in Dark

7画面を立体的に配置したデジタルインスタレーション。

コンピュータ上の三次元空間に立体的に構築した世界を、我々が考える日本の先人達の空間認識の論理構造「超主観空間」によって、平面化し映像化にしている。 光の八咫烏が空間を飛び回り、その軌跡が光跡となり光の空間に描く書『空書』を描いている。烏が空中を互いに追い追われつつ、花となって散っていく。

日本のアニメが生んだ表現のひとつに、アニメーター板野一郎によって確立された「板野サーカス」というものがある。画面いっぱいに埋め尽くすほど大量に発射されたミサイル群が、まったく正しくないパースペクティブで描かれた(より人間がダイナミックさや迫力を感じるようにデフォルメされて描かれた)空間を乱れ飛ぶさまを、超高速のカメラワークによる視点の回り込み演出による映像美であるとされ、80年代以降のアニメーション表現に大きな影響を与えた。

本作品は、板野サーカスをオマージュし、二次元のアニメーションで行われていた空間のデフォルメを三次元空間で再現することによって、日本のアニメーター達が生んだデフォルメされた空間とは、どのような空間認識の論理構造であるか、それらは伝統的な日本の空間認識の連続性の中にあるのではないかという仮説の模索である。そして、デフォルメされた空間を三次元空間で再現することによって、平面化した時自由に横に広げ、実際の現実空間に再構築することを試みている。そして平面を分割し、分割された平面を現実空間に立体的に配置することによって、どのような体験になるかという実験でもある。

学ぶ!未来の遊園地

共同で創造する「共創(きょうそう)」の体験を学ぶ

今日の僕らの仕事を、僕が小学生になったばかりの30年前に、世界中のどの大人が想像できたでしょう?
情報社会が到来し、全てはネットワークで繋がり、社会の変化はますます加速するでしょう。今の子どもたちが、30年後に、どんな仕事をしているか、僕には、さっぱり想像ができません。
創造性こそが、歴史の年号を覚えることよりも、計算がうまくできることよりも、非常に大事なことになってきているのです。
一方、現状の教育は暗記の延長だったり、正解が一つで、他は全て不正解な問題の訓練ばかりです。逆に、自由な発想や、他人と違った行動は、正解になることがないどころか、まちがったものとして、矯正されます。社会は、正解が一つである問題なんてありません。今までになかった解答が正解だったりするのです。ワンクリックですぐ宅配してくれる本屋さんも正解だし、素敵なカフェがあって空間がとても居心地の良い本屋さんも正解なのです。そして、30年前に正解だった本屋さんの正解の多くは、もしかしたら、今、不正解なのです。
そして、現状の教育は、小さい頃から徹底して、個として欠点がないように均質的な能力を伸ばすことに集中しています。宿題は個人で行い、テストも個人で受け、受験は個人で評価されます。つまり、個人プレイを徹底的に叩きこまれているのです。さらに、現代の多くの子どもたちは、スマホに夢中になっています。脳は、スマホを通して誰かとつながっているかもしれませんが、身体は、徹底した個人作業になってしまいます。人間は、あらゆる体験を通してこの世界について学んでいるし、動きながら身体でも、ものを考えるのです。
しかし、社会では、チームでクリエイティブな成果を出すことを求められてきています。共同的で創造的な体験、つまり、「共創(きょうそう)」の体験、それが、今、子どもたちにとってもっとも大事なのではないかと思っています。最新のデジタルテクノロジーを使い、子どもたちが同じ空間で、自由に体を動かし、互いに影響を与え、共同で創造していく「共創」の体験を楽しんで欲しい。そして、共同で創造していくことをとても楽しめる人間になってもらいたい、そういう願いから生まれた「学ぶ!未来の遊園地」です。

メッセージ

チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地

チームラボ 代表 猪子寿之


2012年の春から夏にかけて、チームラボは台湾美術館(Taiwan Museum of Fine Arts)で、美術館での個展をはじめて行いました。アートからプロダクトまでを含めた19作品にも及ぶ個展です。


当時、僕もびっくりしたことなのですが、週末になると、その美術館は子ども連れが非常に多くなります。親は、子どもに現代アートに触れてほしいという思いが強いのでしょう。そして、子どもが美術館の中で騒いでいるのです。そこの人々は、子どもが騒ぐことは当たり前だと思っているのでしょう、子どもは美術館でも騒いで良いのです。僕らが展示した作品の中の一つに、同じ空間で大勢が同時に関わることができる作品があったのですが、そこには子どもが大勢集まり、大はしゃぎを続けていました。子どもたちは、共同で、とても知的に創造的なことを行っていたのです。


その様子を見て、普段はあまりアートに興味を持っていないチームラボのメンバーの一人──チームラボは多様なので、そんな人もいます(笑)──が、彼は子どもが二人いるのですが、日本で自分の子どもにも同じ体験をさせたいと、突然、そして強く言い出したのです。


それがきっかけで始まったのが、チームラボの「学ぶ!未来の遊園地」です。そう、日本でも、子どもがアートに触れながら、同じ空間で、他の人々と、共同的で創造的な体験をしてもらいたい。そう思ったのです。自由に騒げる空間で!


一方、その間、チームラボは、“チームラボ”という個人名ではない現代アーティストとして、世界各地でアートを発表したり、展覧会を開いたりしてきました。人類は、デジタルという概念を手に入れました。それは、便利だとかコストの革新だけではなく、美の概念を拡張できることだと僕らは信じているのです。


例えば、人とアートの関係性を劇的に変えることだと考えています。見て感じるだけではなく、より参加し、体感するものへと変えることができるのです。そして、人々のふるまいそのものが作品を変化させるのです。個と作品の関係から、集団と作品の関係へと変えるのです。そう、作品の前の人々の関係性にも影響を与えるのです。


また、作品を創るというプロセスも広がります。僕らは、「デジタルという新たな方法論によって、古来の日本の空間認識の論理構造を模索する」というサイエンス的なアプローチを試みているのです。そしてそれを再利用することによって新たな視覚体験を試みたり、近現代の人々の世界の捉え方への問いを投げかけたりしています。古来には、人類が長年培ってきたにも関わらず、近代社会とは相性が悪かったために捨てられたものがあり、その中に、新しい社会のヒントがあるのではないかと信じているからです。


少なくとも、古来の日本の空間認識の論理構造は、作品に参加し、体感する、つまり、作品が人々の振る舞いによって自由に変化することだとか、人々が空間の中を自由に歩き回りながら体感することと、相性が良いという発見をしたのです。そう、近代に捨てられた日本の古来の空間認識は、デジタルによって、再び、花開くのです。鑑賞者は、じっと止まって鑑賞する必要もなければ、作品は、変容的にも関わらず美しさを維持できるのです。鑑賞者も作品も、より自由になったのです。そう、人もアートも、踊れるのです。


2014年の夏は、はじめてニューヨークで、Pace Galleryというすばらしい場所で個展を開くことができ、大きな話題となり、大盛況に終わりました。


そして、今回、やっと東京。日本では、チームラボとして、一カ所で行うはじめての大個展です。そして、その場所が、偶然にも「National Museum」である日本科学未来館(National Museum of Emerging Science and Innovation)なのです。本当は、もともと同じ場所からスタートしたアートと遊園地を、もう一度、くっつけて展示することにしました。日本でも、子どもは、アートに触れて騒いで良いのです。もちろん、大人も。


そして、「学ぶ!未来の遊園地」は、大人だけでも、楽しんでほしいのです。なぜなら、大人もまた、共同的で創造的な体験を楽しんでほしいからです。たまには、創造性にあふれるデタラメな子どもたちに紛れながら。そして、もともと、「学ぶ!未来の遊園地」は、子ども用ではなくて、僕らが僕らにとっておもしろいと思うものを創っていたものなのですから。

こんな場を与えていただき、感謝、感謝、超感謝。そして、応援してくれて、いつもありがと。

古代も、未来も、踊って学んで

日本科学未来館 内田まほろ


「重さのあるものは、みんなダサい」、これは、チームラボ代表、猪子さんの、とあるシンポジウムでの発言。「原稿は文字数を決めてはならない」、これは、チームラボの戒律?らしい。そんな、え?と思うような「非常識」をまき散らす不思議な集団チームラボは、ビジネス、広告、公共事業に至るまで分野を問わず、また、モバイル、テレビ、ネット、街、空港など、空間やサイズも問わず、あらゆるところに自由自在に現れて、わたしたちを知的に刺激しながら、楽しませています。


チームラボが信じるのは、現代社会を作っている重厚なマテリアルや、文字数などの定型的なフォーマットではなく、永遠に続くかもしれない数学的なアルゴリズムや、他者とともに変化し続ける関係性、そして、古代日本人の持っていた曖昧な空間や時間の視点です。そんなチームラボの作品には、体を動かす遊びにも、じっくり見とれる映像にも、一瞬一瞬、一点一点の存在に、いとおしさを感じる不思議な力があります。それは、現代に対する深い問いかけとともに、またとないこの瞬間が、古代のあの時代と、そして未来へ確実につながることを感じるからなのかもしれません。


アートの仕事は、「神(のようなもの)を感じ、問いを作ること」、サイエンスの仕事は「真理を追求し、問いを解決する」ことにあります。両者が同義であったルネサンス時代ではダビンチ、ミケランジェロらの巨匠たちが、アートとサイエンス、つまり「美」と「知」を魔法のように操って、街中に感動や秩序を作りだし、民衆たちを未来へと導きました。本展では、時代も空間も物質までも飛び越える、もしかしたら現代のラファエロかもしれない「チーム=人」「ラボ=工房」と、「踊って学んで」、未来作りの仲間入りをしていただければ幸いです。

未来はこんなに面白くて、美しい

日本テレビ放送網 企画・プロデューサー 岩間 玄


チームラボは僕らに未来を見せてくれます。それもとびきり面白くてかっこいい未来です。子どもも大人も、年齢も性別も関係なく、同じようにワクワク出来るようなイカした未来。それを手繰り寄せるために彼らは、古臭い区分けやボーダー、ジャンルを易々と軽々と飛び越えます。理系も文系も関係ない。芸術か科学か。そんなことはどっちでもいい。アートか遊びかビジネスか、はたまた教育なのか、そんなものは観る人が決めればいい。軽やかで鮮やかなチームラボのクリエイティブ。それはひょっとしてかつてテレビが果たしていた役割なのかもしれません。何が飛び出してくるか分からない、サーカス小屋のようなドキドキ感。常識的な大人たちを煙に巻き、一足飛びで新しい世界に連れていってくれる魔法の力。そんな彼らのキラキラした姿を見て、僕は次の時代の扉が開く歴史的な瞬間に立ち会っていることを知るのです。そうだ、きっとそうだ。新しい時代の新しい美しさ・面白さはこういう集団が作り出すのだ。そう思うとき、僕は少し嫉妬するのです。あと15年生まれるのが遅かったら. . .チームラボに入りたかったな、と(笑)。この展覧会は、観る人にきっと新しい体験と興奮をもたらすに違いありません。彼らが作り出すとびきり面白くてかっこいい、そして美しい未来を目撃しに、ぜひお台場にいらしてください。

「秩序がなくともピースは成り立つ」世界のための覚え書き2.0
チームラボと日本的想像力の21世紀的展開

評論家 宇野 常寛


猪子寿之率いるウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」は情報技術 のスペシャリストたちのチームで、近年はデジタルアート作品を数多く発表している。主催の猪子が掲げるコンセプトは情報技術 による日本的な想像力の再解釈だ。西欧的な遠近法(パースペクティブ)とは異なる日本画の空間把握の論理を現代の情報技術と組み合わせることで、猪子はユニークな視覚体験を提供するデジタルアートを多数産み出してきた。

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来場案内

会場情報

チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地

会期

2014.11.29(土) - 2015.05.10(日)

時間

10:00~17:00
10:00〜19:00 : 3月7日以降の土曜・日曜・祝日、および4月29日(水・祝)~5月10日(日)

*入館は閉館30分前まで

休み

毎週火曜休館。
年末年始休館:2014年12月28日(日)~2015年1月1日(木)
3月2日(月)~3月6日(金)の期間、本企画展の開催はありません。

*但し、2014年12月23日、2015年1月6日、3月31日、4月28日、5月5日は開館。

料金

当日券
大人(19歳以上) / 1,800円
中人(小学生〜18歳) / 1,200円 (土曜日 1,100円)
小人(3歳〜小学生未満) / 900円
2歳未満 / 無料
障がい者手帳所持者当人および付き添い者1名 / 無料

割引券:団体(8名以上)・リピーター・キャンペーン
大人(19歳以上) / 1,600円
中人(小学生〜18歳) / 1,000円 (土曜日 920円)
小人(3歳〜小学生未満) / 700円

リピーター割引:次回ご来場時に屋外チケットブースで入場券をご提示いただくと、割引料金でご入場いただけます。対象はご本人様のみとなります。

りんかい線×日本科学未来館 お客様感謝キャンペーン割引:以下のいずれかをご提示いただくと、割引料金でご入場いただけます。
・りんかい線の区間を含む定期券(期間内のみ有効)
・りんかい線 1日乗車券(当日のみ有効)
・モノレール&お台場ワクワクきっぷ(当日のみ有効)
・東急お台場パス(当日のみ有効)

チームラボ展×愛車フェス コラボキャンペーン割引:「おぎやはぎの愛車遍歴フェスティバル inお台場」のチケットをご提示いただくと、割引料金でご入場いただけます。

科学技術週間・こどもの日
科学技術週間(4月17日(金)、18日(土))と、こどもの日(5月5日(火・祝))は、以下の特別価格でご入場いただけます。
大人 1,800円⇒1,390円(4/17、4/18)
中人 1,200円⇒1,100円(4/17、4/18、5/5)

チケット購入先
ローソンチケット / イープラス / チケットぴあ / セブンチケット / tixee
etix(公式オンラインチケット)

常設展示
本チケットで日本科学未来館の常設展示もご覧いただけます。

会期延長に伴い

会期終了が2015年5月1日まで延長となりました。それに伴い、3月1日までとなっているチケットも5月10日までご入場頂けます。

入場整理券

入場整理券の配布について
配布日:5月2日(土)~5月10日(日・祝)
配布場所:日本科学未来館 1階 コミュニケーションロビー

※入場整理券には入場時間が記入されております。早い時間分から順次配布いたします。時間の指定は出来ません。遅い入場時間のご案内になる場合もあるため、お時間には余裕を持ってご来場ください。
※入場整理券配布の際には企画展チケットを確認させていただきます。
※入場整理券は規定枚数に達し次第、配布終了となりますが、18:00以降はお並びいただいた順にご入場いただけます。
※状況により入場整理券なしで入場できるように運用を切り替える場合がございます。
※新作「Floating Flower Garden」は7階スタジオにて、お並びいただいた順に体験いただけます。

アクセス

住所

日本科学未来館
東京都江東区青海2−3−6
新交通ゆりかもめ
「船の科学館駅」下車、徒歩約5分/「テレコムセンター駅」下車、徒歩約4分
東京臨海高速鉄道りんかい線
「東京テレポート駅」下車、徒歩約15分
開催中・開催予定のイベント

お絵かきタウンペーパークラフト


3Dお絵かきタウンで描いた絵から、ペーパークラフトがつくれます。
平面で描いたクルマやビルの絵をスキャンすると、自分の絵が展開図となってでてきます。展開図を組み立てると、オリジナルのペーパークラフトが出来上がります。


※会場では組み立ては出来ません。

会期:2015年4月8日(水)~4月28日(火)10:00~17:00(最終入場は閉館の30分前まで)※平日のみ
会場:日本科学未来館 1階
参加費:企画展入場料のみ
参加方法:3Dお絵かきタウンのお絵かき用紙をペーパークラフト会場入口でご提示下さい。


お絵かきタウンペーパークラフト>



開催中・開催予定のイベント

つくる!僕の天才ケンケンパ


オリジナルの天才ケンケンパのコースを作ることができます。
作者はどんなコースになったら面白いか、難易度はどうか、など創造性を駆使しコースを作ります。また、作ったコースを他人や友達に遊んでもらうことで、ルールは自分で作れるという体験、発見をします。


会期:2015年4月8日(水)~4月28日(火)10:00~17:00(最終入場は閉館の30分前まで)※平日のみ


つくる!僕の天才ケンケンパ>





開催中・開催予定のイベント

チームラボカメラ Ver.ふなっしー


イベントのスペシャルサポーター「ふなっしー」とコラボレーションをした 「チームラボカメラ Ver.ふなっしー」を期間限定で展示しています!
撮影結果は公式Facebookページにアップロードされるので、自由にシェアすることができます。


チームラボカメラ Ver.ふなっしー に新フレームが導入されます!
フレームを選択してスタートボタンに触れると撮影がスタートします。
今回は、落ちてきたふなっしーに触れると、ふなっしーのポーズが変わって写真が撮れる新しいグラフィックが加わりました。

ポスター入り込み写真> ふなっしーなりきり動画>


日本科学未来館
会期:2014年12月17日(水)〜2015年5月10日(日)
会場:日本科学未来館 1階 コミュニケーションロビー、シンボルゾーン
料金:無料

ヴィーナスフォート
会期:2014年12月18日(木)〜2015年5月10日(日)
会場:ヴィーナスフォート 2F 中央広場(〒135-0064 東京都江東区青海1-3-15)
料金:無料

イオンレイクタウンmori
会期:2014年12月18日(木)〜2015年5月10日(日)
会場:イオンレイクタウンmori 3F 3046(〒343-0828 埼玉県越谷市レイクタウン3丁目1番地1)
料金:無料
アーティスト
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チームラボ
アートコレクティブ。2001年から活動を開始。集団的創造によって、アート、サイエンス、テクノロジー、そして自然界の交差点を模索している国際的な学際的集団。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。 チームラボは、アートによって、自分と世界との関係と新たな認識を模索したいと思っている。人は、認識するために世界を切り分けて、境界のある独立したものとして捉えてしまう。その認識の境界、そして、自分と世界との間にある境界、時間の連続性に対する認知の境界などを超えることを模索している。全ては、長い長い時の、境界のない連続性の上に危うく奇跡的に存在する。 チームラボの作品は、ビクトリア国立美術館(メルボルン)、ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館(シドニー)、南オーストラリア州立美術館(アデレード)、オーストラリア国立美術館(キャンベラ)、アモス・レックス(ヘルシンキ)、ロサンゼルス現代美術館(ロサンゼルス)、サンフランシスコ・アジア美術館(サンフランシスコ)、ボルサン・コンテンポラリー・アート・コレクション(イスタンブール)、アジア・ソサエティ(ニューヨーク)などに収蔵されている。 teamlab.art Biographical Documents teamLab is represented by Pace Gallery, Martin Browne Contemporary and Ikkan Art.

主催

日本科学未来館/チームラボ/日本テレビ放送網/BS日テレ

共催

ゆりかもめ

協賛

日本マイクロソフト株式会社/株式会社PFU/ソニー株式会社/ぺんてる株式会社/株式会社ニッセン/青山フラワーマーケット/SORRA, Inc./ウシオライティング株式会社

後援

文部科学省/TOKYO FM/TOKYO MX/テレビ神奈川/りんかい線