毎日新聞に、掲載。2016年12月21日
宇宙空間を散歩…光で表現
光で、天の川や惑星など宇宙空間が表現されている。「クリスタルユニバース」は名古屋市中区の市科学館で開かれている特別展の作品の一つだ。(本文抜粋)
踊る!アート展
デジタルにおける表現の追究
人類は、デジタルという概念を手に入れました。それは、便利だとかコストの革新だけではなく、美の概念を拡張できることだと僕らは信じているのです。
例えば、人とアートの関係性を劇的に変えることだと考えています。見て感じるだけではなく、より参加し、体感するものへと変えることができるのです。そして、人々のふるまいそのものが作品を変化させるのです。個と作品の関係から、集団と作品の関係へと変えるのです。そう、作品の前の人々の関係性にも影響を与えるのです。また、作品を創るというプロセスも広がります。僕らは、デジタルという新たな方法論によって、古来の日本の空間認識の論理構造を模索するというサイエンス的なアプローチを試みているのです。そしてそれを再利用することによって新たな視覚体験を試みたり、近現代の人々の世界の捉え方への問いを投げかけたりしています。古来には、人類が長年培ってきたにも関わらず、近代社会とは相性が悪かったために捨てられただけにしかすぎないものの中に、新しい社会のヒントがあるのではないかと信じているからです。
少なくとも、古来の日本の空間認識の論理構造は、作品に参加し、体感する、つまり、作品が人々の振る舞いによって自由に変化することだとか、人々が空間の中を自由に歩き回りながら体感することと、相性が良いという発見をしたのです。近代に捨てられた日本の古来の空間認識は、デジタルによって、再び、花開くのです。鑑賞者は、じっと止まって鑑賞する必要もなければ、作品は、変容的にも関わらず美しさを維持できるのです。鑑賞者も作品も、より自由になったのです。
そう、人もアートも、踊れるのです。
学ぶ!未来の遊園地
共同で創造する「共創(きょうそう)」の体験を学ぶ
今日の僕らの仕事を、僕が小学生になったばかりの30年前に、世界中のどの大人が想像できたでしょう?
情報社会が到来し、全てはネットワークで繋がり、社会の変化はますます加速するでしょう。今の子どもたちが、30年後に、どんな仕事をしているか、僕には、さっぱり想像ができません。
創造性こそが、歴史の年号を覚えることよりも、計算がうまくできることよりも、非常に大事なことになってきているのです。
一方、現状の教育は暗記の延長だったり、正解が一つで、他は全て不正解な問題の訓練ばかりです。逆に、自由な発想や、他人と違った行動は、正解になることがないどころか、まちがったものとして、矯正されます。社会は、正解が一つである問題なんてありません。今までになかった解答が正解だったりするのです。ワンクリックですぐ宅配してくれる本屋さんも正解だし、素敵なカフェがあって空間がとても居心地の良い本屋さんも正解なのです。そして、30年前に正解だった本屋さんの正解の多くは、もしかしたら、今、不正解なのです。
そして、現状の教育は、小さい頃から徹底して、個として欠点がないように均質的な能力を伸ばすことに集中しています。宿題は個人で行い、テストも個人で受け、受験は個人で評価されます。つまり、個人プレイを徹底的に叩きこまれているのです。さらに、現代の多くの子どもたちは、スマホに夢中になっています。脳は、スマホを通して誰かとつながっているかもしれませんが、身体は、徹底した個人作業になってしまいます。人間は、あらゆる体験を通してこの世界について学んでいるし、動きながら身体でも、ものを考えるのです。
しかし、社会では、チームでクリエイティブな成果を出すことを求められてきています。共同的で創造的な体験、つまり、「共創(きょうそう)」の体験、それが、今、子どもたちにとってもっとも大事なのではないかと思っています。最新のデジタルテクノロジーを使い、子どもたちが同じ空間で、自由に体を動かし、互いに影響を与え、共同で創造していく「共創」の体験を楽しんで欲しい。そして、共同で創造していくことをとても楽しめる人間になってもらいたい、そういう願いから生まれた「学ぶ!未来の遊園地」です。
チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地
チームラボ 代表 猪子寿之
2012年の春から夏にかけて、チームラボは台湾美術館(Taiwan Museum of Fine Arts)で、美術館での個展をはじめて行いました。アートからプロダクトまでを含めた19作品にも及ぶ個展です。
当時、僕もびっくりしたことなのですが、週末になると、その美術館は子ども連れが非常に多くなります。親は、子どもに現代アートに触れてほしいという思いが強いのでしょう。そして、子どもが美術館の中で騒いでいるのです。そこの人々は、子どもが騒ぐことは当たり前だと思っているのでしょう、子どもは美術館でも騒いで良いのです。僕らが展示した作品の中の一つに、同じ空間で大勢が同時に関わることができる作品があったのですが、そこには子どもが大勢集まり、大はしゃぎを続けていました。子どもたちは、共同で、とても知的に創造的なことを行っていたのです。
その様子を見て、普段はあまりアートに興味を持っていないチームラボのメンバーの一人──チームラボは多様なので、そんな人もいます(笑)──が、彼は子どもが二人いるのですが、日本で自分の子どもにも同じ体験をさせたいと、突然、そして強く言い出したのです。
それがきっかけで始まったのが、チームラボの「学ぶ!未来の遊園地」です。そう、日本でも、子どもがアートに触れながら、同じ空間で、他の人々と、共同的で創造的な体験をしてもらいたい。そう思ったのです。自由に騒げる空間で!
一方、その間、チームラボは、“チームラボ”という個人名ではない現代アーティストとして、世界各地でアートを発表したり、展覧会を開いたりしてきました。人類は、デジタルという概念を手に入れました。それは、便利だとかコストの革新だけではなく、美の概念を拡張できることだと僕らは信じているのです。
例えば、人とアートの関係性を劇的に変えることだと考えています。見て感じるだけではなく、より参加し、体感するものへと変えることができるのです。そして、人々のふるまいそのものが作品を変化させるのです。個と作品の関係から、集団と作品の関係へと変えるのです。そう、作品の前の人々の関係性にも影響を与えるのです。
また、作品を創るというプロセスも広がります。僕らは、「デジタルという新たな方法論によって、古来の日本の空間認識の論理構造を模索する」というサイエンス的なアプローチを試みているのです。そしてそれを再利用することによって新たな視覚体験を試みたり、近現代の人々の世界の捉え方への問いを投げかけたりしています。古来には、人類が長年培ってきたにも関わらず、近代社会とは相性が悪かったために捨てられたものがあり、その中に、新しい社会のヒントがあるのではないかと信じているからです。
少なくとも、古来の日本の空間認識の論理構造は、作品に参加し、体感する、つまり、作品が人々の振る舞いによって自由に変化することだとか、人々が空間の中を自由に歩き回りながら体感することと、相性が良いという発見をしたのです。そう、近代に捨てられた日本の古来の空間認識は、デジタルによって、再び、花開くのです。鑑賞者は、じっと止まって鑑賞する必要もなければ、作品は、変容的にも関わらず美しさを維持できるのです。鑑賞者も作品も、より自由になったのです。そう、人もアートも、踊れるのです。
2014年の夏は、はじめてニューヨークで、Pace Galleryというすばらしい場所で個展を開くことができ、大きな話題となり、大盛況に終わりました。
そして、今回、やっと東京。日本では、チームラボとして、一カ所で行うはじめての大個展です。そして、その場所が、偶然にも「National Museum」である日本科学未来館(National Museum of Emerging Science and Innovation)なのです。本当は、もともと同じ場所からスタートしたアートと遊園地を、もう一度、くっつけて展示することにしました。日本でも、子どもは、アートに触れて騒いで良いのです。もちろん、大人も。
そして、「学ぶ!未来の遊園地」は、大人だけでも、楽しんでほしいのです。なぜなら、大人もまた、共同的で創造的な体験を楽しんでほしいからです。たまには、創造性にあふれるデタラメな子どもたちに紛れながら。そして、もともと、「学ぶ!未来の遊園地」は、子ども用ではなくて、僕らが僕らにとっておもしろいと思うものを創っていたものなのですから。
こんな場を与えていただき、感謝、感謝、超感謝。そして、応援してくれて、いつもありがと。
古代も、未来も、踊って学んで
日本科学未来館 内田まほろ
「重さのあるものは、みんなダサい」、これは、チームラボ代表、猪子さんの、とあるシンポジウムでの発言。「原稿は文字数を決めてはならない」、これは、チームラボの戒律?らしい。そんな、え?と思うような「非常識」をまき散らす不思議な集団チームラボは、ビジネス、広告、公共事業に至るまで分野を問わず、また、モバイル、テレビ、ネット、街、空港など、空間やサイズも問わず、あらゆるところに自由自在に現れて、わたしたちを知的に刺激しながら、楽しませています。
チームラボが信じるのは、現代社会を作っている重厚なマテリアルや、文字数などの定型的なフォーマットではなく、永遠に続くかもしれない数学的なアルゴリズムや、他者とともに変化し続ける関係性、そして、古代日本人の持っていた曖昧な空間や時間の視点です。そんなチームラボの作品には、体を動かす遊びにも、じっくり見とれる映像にも、一瞬一瞬、一点一点の存在に、いとおしさを感じる不思議な力があります。それは、現代に対する深い問いかけとともに、またとないこの瞬間が、古代のあの時代と、そして未来へ確実につながることを感じるからなのかもしれません。
アートの仕事は、「神(のようなもの)を感じ、問いを作ること」、サイエンスの仕事は「真理を追求し、問いを解決する」ことにあります。両者が同義であったルネサンス時代ではダビンチ、ミケランジェロらの巨匠たちが、アートとサイエンス、つまり「美」と「知」を魔法のように操って、街中に感動や秩序を作りだし、民衆たちを未来へと導きました。本展では、時代も空間も物質までも飛び越える、もしかしたら現代のラファエロかもしれない「チーム=人」「ラボ=工房」と、「踊って学んで」、未来作りの仲間入りをしていただければ幸いです。
未来はこんなに面白くて、美しい
日本テレビ放送網 企画・プロデューサー 岩間 玄
チームラボは僕らに未来を見せてくれます。それもとびきり面白くてかっこいい未来です。子どもも大人も、年齢も性別も関係なく、同じようにワクワク出来るようなイカした未来。それを手繰り寄せるために彼らは、古臭い区分けやボーダー、ジャンルを易々と軽々と飛び越えます。理系も文系も関係ない。芸術か科学か。そんなことはどっちでもいい。アートか遊びかビジネスか、はたまた教育なのか、そんなものは観る人が決めればいい。軽やかで鮮やかなチームラボのクリエイティブ。それはひょっとしてかつてテレビが果たしていた役割なのかもしれません。何が飛び出してくるか分からない、サーカス小屋のようなドキドキ感。常識的な大人たちを煙に巻き、一足飛びで新しい世界に連れていってくれる魔法の力。そんな彼らのキラキラした姿を見て、僕は次の時代の扉が開く歴史的な瞬間に立ち会っていることを知るのです。そうだ、きっとそうだ。新しい時代の新しい美しさ・面白さはこういう集団が作り出すのだ。そう思うとき、僕は少し嫉妬するのです。あと15年生まれるのが遅かったら. . .チームラボに入りたかったな、と(笑)。この展覧会は、観る人にきっと新しい体験と興奮をもたらすに違いありません。彼らが作り出すとびきり面白くてかっこいい、そして美しい未来を目撃しに、ぜひお台場にいらしてください。
「秩序がなくともピースは成り立つ」世界のための覚え書き2.0
チームラボと日本的想像力の21世紀的展開
評論家 宇野 常寛
会場情報
会期
時間
休み
料金
会期延長に伴い
入場整理券
アクセス
住所
お絵かきタウンペーパークラフト
3Dお絵かきタウンで描いた絵から、ペーパークラフトがつくれます。
平面で描いたクルマやビルの絵をスキャンすると、自分の絵が展開図となってでてきます。展開図を組み立てると、オリジナルのペーパークラフトが出来上がります。
※会場では組み立ては出来ません。
会期:2015年4月8日(水)~4月28日(火)10:00~17:00(最終入場は閉館の30分前まで)※平日のみ
会場:日本科学未来館 1階
参加費:企画展入場料のみ
参加方法:3Dお絵かきタウンのお絵かき用紙をペーパークラフト会場入口でご提示下さい。
つくる!僕の天才ケンケンパ
オリジナルの天才ケンケンパのコースを作ることができます。
作者はどんなコースになったら面白いか、難易度はどうか、など創造性を駆使しコースを作ります。また、作ったコースを他人や友達に遊んでもらうことで、ルールは自分で作れるという体験、発見をします。
会期:2015年4月8日(水)~4月28日(火)10:00~17:00(最終入場は閉館の30分前まで)※平日のみ
チームラボカメラ Ver.ふなっしー
イベントのスペシャルサポーター「ふなっしー」とコラボレーションをした 「チームラボカメラ Ver.ふなっしー」を期間限定で展示しています!
撮影結果は公式Facebookページにアップロードされるので、自由にシェアすることができます。
チームラボカメラ Ver.ふなっしー に新フレームが導入されます!
フレームを選択してスタートボタンに触れると撮影がスタートします。
今回は、落ちてきたふなっしーに触れると、ふなっしーのポーズが変わって写真が撮れる新しいグラフィックが加わりました。
主催
共催
協賛
後援