生命は結晶化したうごめく光 / Living Crystallized Light
生命は結晶化したうごめく光 / Living Crystallized Light
まるで光が結晶化してできた有機体のような存在が、中心から虹色に輝きながら、統合と分裂を繰り返し、うごめいている。
人々は作品の中に入ることができる。人々が作品の中に身体ごと入ったとしても、作品は壊れず、作品の存在は維持され続ける。作品に触れると、見えている部分は、何の変哲もない水の一部だと気が付く。つまり、作品は作品自体で存在せず、環境がつくる特異な現象が作品の存在である。
鑑賞者が動くと、作品は出現する場所が変わっていく。鑑賞者が見ているその作品は、その鑑賞者にしか見えていなく、隣の人からは、違う場所に、違う色の作品が出現している。つまり、見えているその作品の存在は、環境が生み出し、鑑賞者の中にだけ存在する。
Environmental Phenomena
作品は、作品だけで存在できず、環境が現象を生み、その現象が存在を創る。
石ころや、これまで人間がつくってきたものは物体であり、物体はそれ自体で安定的な構造をもつ。石ころは、外界から遮断され密封された箱に入れても存在し続ける。
一方、海に生まれる渦は、閉じた箱に移すと一瞬で消えてしまう。つまり、渦は、それ自体で安定した自らの構造を保っていない。渦は、環境が生む流れの中にある存在であり、渦の外部から内部へ、そして内部から外部へと流れ続ける水によってつくられ、流れとともに変化する。そして、その存在の輪郭は曖昧で、渦と渦の外側の物質的な違いはない。
物体ではなく、特別な環境を創り、環境が生んだ現象によって作品を創る。それらを”環境現象”と呼ぼう。作品は、環境とは切り離せず、環境変化とともに変化する。そして、これまで人間がつくってきたものの常識を超越し、人が作品の中に身体ごと入り込んでも作品の存在は維持され、作品は壊れても修復される。逆に、環境が維持されない時、作品はなくなってしまう。作品の存在の輪郭は曖昧で、環境と連続的である。人々の意識は、存在そのものから環境に広がっていくだろう。