《反転無分別:One Stroke》が、空間「凍結された透明」まで描かれるとこの作品ははじまる。
カメラで瞬間をとらえると明確に平面的である書だが、肉眼ではガラスの中の彫刻のように立体的な存在として認識する。人間は、動的な身体で、連続的な時間を含有して世界を認識しているのだ。
現実空間であるこの作品空間は作品世界に包まれ、一方で、作品世界は現実空間を取り込み、作品世界と現実空間の境界は曖昧で一体である。
鑑賞者が作品空間にいる時、他者が作品空間外から見る作品空間と、鑑賞者が作品空間内で見る作品世界は、同等になる。
つまり、鑑賞者が作品世界を見た時、もしくは、鑑賞者が他者に見られた時、現実の作品空間も鑑賞者も、作品世界の中に存在する。
「空書」とは、チームラボが設立以来書き続けている空間に書く書のこと。書の墨跡が持つ、深さや速さ、力の強さのようなものを、新たな解釈で空間に立体的に再構築し、チームラボの「超主観空間」の論理構造によって2次元化している。書は平面と立体との間を行き来する。