東京スカイツリー®の4階に描いた壁画(全長約30m、高さ約3m)。壁に埋めこまれた10枚のディスプレイも絵の一部となっており、ディスプレイ部分は、アニメーションしている。伝統的に、日本美術における目線は単焦点でなく全てにフォーカスがあたるように設計されていて、さまざまな時間軸を含んだ非常に情報量が多いものである。実在と架空、歴史と未来が混在した東京を、人間の限界を超えた、圧倒的な手描きのオブジェクト数の超高情報量で描いている。
都市には主役はいない。一人ひとりの物語の集合が、都市を興味深い存在に形作っている。日本美術には、16世紀初頭から江戸時代に形成されたとされる『洛中洛外図』や『江戸図屏風』のように、中心がなく、フラットで、すべてにフォーカスがあたり、人々の物語まで含んだ非常に情報量が多い作品が残されている。
そうした日本美術表現の延長にあるものとして、そして、浮世絵など江戸時代に盛んだった版画の手法を、現代のテクノロジーで再構築して応用することによって、まさに中心がなくフラットで細部の情報量が多い東京を超高情報量で描いたのが本作である。
テクノロジーの進化は、人間そのものを進化させているはずだ。そうした信念に基づき、江戸から東京、そして未来へと連続していく東京の姿を描き出している。