水の上に浮遊するランプは、それぞれ固有のリズムで輝くが、近くのランプ同士は、引き込み現象を起こし、時間が経過すると、同じリズムで輝きはじめる。
人が押して揺れると、そのランプが本来持っていた固有のリズムに戻り、近くのランプや《共鳴する茶》の光と引き込み現象を起こしていく。ランプや茶の光のリズムは、近くの光のリズムと影響を与え合う。固有のリズムに戻ったランプが影響を与えるのは、近くのランプや茶だけだが、近くのランプや茶のリズムが変化することで、またその周辺にも影響を与え合い、全体のランプや茶の光のリズムは、バラバラになっていく。ランプは揺れると、また、茶は飲もうとして持ち上げると、再び、それぞれ固有のリズムに戻る。
誰もが、ランプも茶も動かさずにしていると、近くの光同士が影響を与え合うことによって、バラバラだったランプと茶の光のリズムは、だんだんと、はじめとは違ったリズムとなって揃っていく。
引き込み現象とは、異なるリズムが互いに影響を受けてそろっていくこと。壁に掛かった二つの振り子時計の振り子、ホタルの集団発光、心臓細胞の律動など、物理現象、神経生理、生命系や生態系など多様な系で見られる。個々が、全体を俯瞰する能力を持たないのに関わらず、個々の自律的な振る舞いの結果として、秩序を持つ大きな構造を作り出す現象である自己組織化であり、自発的秩序形成とも言える。
ランプシェードは、ムラーノ・ガラス(ベネチアン・グラス)で制作した。