料理と皿をテーブルに置くと、その料理と皿に凝縮され閉じ込められた世界が解き放たれ、テーブル、そして空間全体に広がっていく。ほかの料理と皿から解き放たれた世界と連なり、空間全体が新たな世界を構築していく。
たとえば、皿から生まれた鳥は、周囲の皿から生まれた木を見つけると枝にとまる。たとえば、皿から生まれる木は、毎回同じ木が生まれているわけではなく、今テーブルに創られている世界の影響を受けて、形や大きさが変化する。テーブルとその周辺に創られた世界は、人々のふるまいにも影響を受け、人々がじっとしていれば、小鳥は手に止まり、さわがしくすると、飛び立ってしまうかもしれない。 テーブルに置かれたさまざまな皿から解き放たれた世界は、互いに影響し合い、そして人々のふるまいにも影響を受け、ひとつの世界を創っていく。その瞬間は、二度と見ることができず、永遠に変容し続ける。
テーブルの上に何が置かれているのかは、人工知能によって観測されている。そのため、人々は皿を自由に、テーブルの好きな場所に置くことができる。