空間の入口付近中央に立って見る作品。
「虚空の宇宙」に、《The Way of the Sea: Flying Beyond Borders》が入ってくると、この作品ははじまる。終わると
《The Way of the Sea: Flying Beyond Borders》が出ていく。
空間の入口付近中央に立つと、壁と床の境界がなくなり現実空間が消え、群の軌跡が描く線が空間に立体的に描かれはじめ、作品世界に身体ごと没入し、人々は身体と作品世界との境界をも失っていくだろう。
光で描かれた魚群が空間を自由無礙に泳ぎ、その軌跡が光跡となり、空間に描く線を描いている。
数千から数万の魚の群れの動きは、美しく神秘的で、まるで一つの巨大な存在のようにも見える。その群れの動きの生理学的なメカニズムは謎に包まれているが、一つの存在のように感じるということは、直感的に、そこに時空間的な構造があるようにも思える。構成要素が時間的空間的に離れていても、強い存在になりえるような、新たな時空間的姿形を模索したい。そして、空間的には同じ姿形が二度とないにも限らず、そして、時間と共に、大きさすら大きく異なるにも関わらず、同じ構造が維持されている限り、同じ存在として感じられる新たな姿形を模索できるのではないかと考えている。