様々な研究によれば、森は木と木が菌根菌のネットワークでつながりあい、互いを認識し、栄養を送り合っている。その共存、相互扶助の大きな役割を果たしている中心にあるのが、樹齢の長い大木である。森林生態学者のスザンヌ・シマードは、そのような大木をマザーツリーと呼んでいる。
人が木に近づくと、最も近い球体が強く輝き音色を響かせる。周辺の球体も次々に呼応し、光を輝かせ音色を響かせ連続していく。
木は、タブノキ。7世紀後半から8世紀後半にかけて編纂された、現存する日本の最古の歌集である万葉集の歌「磯の上の つままを見れば 根を延へて 年深からし神 さびにけり」のツママはタブノキを指すと言われている。意味は「海辺の岩の上のつままを見ると、根を長く張っていて、年を重ねているらしい。神々しくなっている」。1200年前も、森全体へと長く張る根を見て、神秘性を感じていたのだろう。