《地形の記憶》に、《The Way of the Sea: Flying Beyond Borders》が入ってくると、この作品ははじまる。終わると《The Way of the Sea: Flying Beyond Borders》が出ていく。
人々が魚群に触れると、人々はそれぞれ色を持っており、その色に染まっていく。
キャンバスが変容的なものになったことと、連続した動的なふるまいによって、身体ごと作品に没入し、人々は身体と世界との境界をも失っていくだろう。そして、一つの共通の世界が自分や他者の存在で変化していくことで、自分と他者が同じ世界に溶け込んでいく。
数千から数万の魚の群れの動きは、美しく神秘的で、まるで一つの巨大な存在のようにも見える。その群れの動きの生理学的なメカニズムは謎に包まれているが、一つの存在のように感じるということは、直感的に、そこに時空間的な構造があるようにも思える。構成要素が時間的空間的に離れていても、強い存在になりえるような、新たな時空間的姿形を模索したい。そして、空間的には同じ姿形が二度とないにも限らず、そして、時間と共に、大きさすら大きく異なるにも関わらず、同じ構造が維持されている限り、同じ存在として感じられる新たな姿形を模索できるのではないかと考えている。