Nirvana: Fleeting Flower Shimmering Light
teamLab, 2013/2024, Interactive Digital Installation
Nirvana: Fleeting Flower Shimmering Light
teamLab, 2013/2024, Interactive Digital Installation
Fleeting Flower シリーズ。全ては、長い長い時間の、境界のない生命の連続性の上に危うく奇跡的に存在する。
生と死を繰り返す花々よって作品世界は描かれる。生まれた花はやがては散るが、人々が触れるとすぐに散ってしまう。花々が散ると世界が欠けていく。
伊藤若冲(1716 – 1800)は、近世日本の絵師の一人。江戸時代中期の京都にて活躍した。若冲は、画面全体を数万もの升の形に区切って升目ごとに彩色する、『升目画』という特異な表現方法を残している。本作品は『鳥獣花木図屏風』や『樹花鳥獣図屏風』をモチーフにしている。
升目画は、ひとつの升目ごとに何種類かの色彩を使って四角の中に模様を描いており、印象主義や点描主義よりも以前から、視覚混合の光学現象を意識して表現しているかのようにも思える。
本作は、仮想の三次元空間上で動植物を立体物としてつくり、その空間を「超主観空間」によって映像作品にしている。
そして、作品世界の色を、花ごとに花の部分部分によって分解し彩色している。たとえば、ある花が赤と青で彩色されていたら、その部分は三次元空間上では紫だった部分である。
画面の花が固定されたまま動物は動いていくので、花の彩色は作品空間とは違う時間軸でうごく。遠くで全体を見た時、視覚混合による明度の高い色彩は、遅い時間軸で動いていく空間の動植物の世界。近くで凝視した時、花を描く線によって分解された彩度の高い色彩は、速い時間軸で変化していく花の世界。作品上のかすかなきらめきは、鑑賞者自身の身体の動きがつくる身体の時間軸で変化していく作品世界と鑑賞者の間にある世界。3つの時空が重なり合う。