「群蝶図」。この群蝶は、人々から生まれ、空間の中を舞う。人々がふれると死んでいく。
「バタフライハウス」は、人々がいなければ、真暗で何も存在しない空間である。人々が空間に入り立ち止まると、人々の体に現れる蛹から蝶が羽化し、足元から飛んでいく。
自分の存在によって、作品は生まれるが、その生まれていく様子は自分からはあまり見えず、他者によって認識されるだろう。
ディスプレイの中に越境し、そして、部屋からも出て、作品の境界を越境し、他の作品の中を飛び回る。他の作品の中をシームレスに飛ぶことによって、作品のフレームという概念を解き放ち、作品間の境界をあいまいにしていく。群蝶は他の作品の影響を受けながら飛ぶ。
部屋の外では、「グラフティネイチャー」で人々に描かれて生まれた蝶、そして「世界は暗闇から始まるが、それでもやさしくうつくしい」で人々によって文字から生まれた蝶とともに、群蝶をつくる。
ボーダレスワールド内に飛ぶ蝶は、「バタフライハウス」、「グラフィティネイチャー」、「世界は暗闇から始まるが、それでもやさしくうつくしい」で生まれた蝶だけが飛んでいる。人々が生んだ蝶よりも、人々が殺した蝶の方が多ければ、この作品はなくなってしまう。
この作品は、コンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ続けている。 あらかじめ記録された映像を再生しているわけではない。全体として、以前の状態が複製されることなく、変容し続ける。つまり、今この瞬間の絵は、二度と見ることができない。