Environmental Phenomena

作品は作品自体で存在せず、環境がつくる現象が作品の存在をつくる。

石ころや、これまで人間がつくってきたものは、それ自体で安定的な構造をもつ。そのようなものとは違い、環境によって作品の存在をつくる。

環境が現象を生み、環境がその現象の構造を安定させ、安定した現象が作品の存在である。

環境現象は、これまで存在の構造を担っていた物質から解放され、日常的にありふれた空気や水、光なども環境によって特異な現象となり、その現象がアートの存在となるだろう。そして、その存在の境界は曖昧で連続的である。人々が作品を壊したとしても、環境が維持される限り、作品は存在が維持される。逆に、環境が維持されない時、作品は、消えてなくなってしまう。
人々の意識は、存在そのものから環境に広がっていくだろう。

石ころは、外界から遮断され密封された箱に入れても存在し続けるが、生命は、そのような閉じた箱に入れられると存在を維持できない。
生命もまた、環境によってつくられている存在である。

生命は、開いた世界の中で、連続する流れの中に生まれる奇跡的な現象かもしれないのだ。